キッシンジャー「歴史卒論」が意味するもの

  • 2019.11.30 Saturday
  • 10:15

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20世紀後半の地球規模の外交を主導した、キッシンジャーの伝記本を読んだところ、卒論テーマが歴史であったとする記述を見つけた。

 

 

「キッシンジャー 1923−1968 理想主義者1」(ニーアル・ファーガソン)から引用させていただく。

 

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キッシンジャーの卒業論文「歴史の意味」は、ハーバードの歴史に残る作品となっている。学部学生が提出したものとしては最も長く、現行の長さ制限(三万五○○○ワード以内または一四〇ページ前後)導入の契機となった論文だからだ(この制限は、いまでも「キッシンジャー・ルール」と呼ばれている)。キッシンジャーの論文は三八八ページあった。ヘーゲルとシュヴァイツアーの章を省いても、である。一説

によると、フリードリヒは一五〇ページで読むのをやめたという。とはいえ、驚くべきは長さではない。主なテーマであるシュペングラー、トインビー、カントのほか、コリングウッド、ダンテ、ダーウイン、デカルト、ドストエフスキー、ゲーテ、ヘーゲル、ホッブス、ホームズ、ホメロス、ヒューム、ロック、ミルトン、プラトン、サルトル、シュヴァイツアー、スピノザ、トルストイ、ヴィーコ、ウェルギリウス、ホワイトヘッドが論じられており、三年間に読破した中から魅力的なエッセンスが抽出されている。さらに意味論を扱った補遺では、ブラッドリー、ハンチントン、ヨセフ、ポアンカレ、ライヘンバッハ、ロイス、ラッセル、シェファー、ステビング、ヴェブレンを扱った。

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キッシンジャーは、外交、地政学に詳しいことで知られているが、ベースとなったのは、歴史の知識と理解に関すること。
上記では、必ずしも歴史に直結しない、思想哲学的なものを研究の素材としていることがわかる。
このことから、キッシンジャーは、歴史とはその時代の思想哲学と密接な関係を持っていたことを理解していたことになる。

 

この本のはじめには、歴史哲学者の考え方の引用がある。

 

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はじめに

こうしたわけで、本書は一〇年におよぶ地道な文書研究の成果である。執筆にあたっては、偉大な歴史哲学者ロビン・ジョージ・コリングウッドの三原則を忠実に守った。

一 すべての歴史は思想の歴史である。
二 歴史として知るとは、歴史家がその歴史を調べようとする当の思想を自ら再び考え、たどることである。
三 過去の思想は、過去にとっての現在から生まれたものであって、現在の思想に包含されてはいても、現在を構成するものからは切り離されている。歴史として知るとは、そのような過去の思想を再び考えることである。

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キッシンジャーはこの歴史哲学者の考えを受け入れ、何らかの意図を以て、外交デビューしたことになる。

ここで言う外交デビューとは、キッシンジャーを選び、登用した人物の意図によって実現したと考えなくてはならない。

もし彼らが、戦勝国史観を末永く継続させ、敗戦国を歴史観によって身動きとれない、属国状態に置いておきたいと考えたらどうであろうか。

 

そう考えると、この場合の思想哲学とは、戦勝国有利な歴史哲学を以て国際政治を操ることを指すと考えるのである。

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  • 2019.12.09 Monday
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