アメリカの反共主義の実相

  • 2022.09.09 Friday
  • 10:29

JUGEMテーマ:歴史

 

 

アメリカの反共主義の実相と歴史的意味について解説した翻訳書を見つけた。

「プロパガンダ株式会社 アメリカ文化の広告代理店」(ナンシー・スノー著、椿正晴訳)から引用させていただく。


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はじめに


マイケル・バレンティ

 

かねてより米外交政策の根本的役割は、対外投資を行う米国企業が他国の天然資源、市場、労働力、資本をできるだけ有利な条件で利用したり、入手したりできるようにすることにあった。一九〇七年、ウッドロー・ウィルソンは、臆面もなく次のように発言した。

 

「貿易に国境はなく、製造業者が世界を一つの市場とすることを強く求めている以上、製造業者の祖国の克己が彼の後ろではためいていなければならないし、彼の市場参入を阻んでいる国の門戸を力ずくで開放することも必要だ。その過程で、門戸開放に応じない国々の主権を踏みにじることになるとしても、国務大臣たる者は、投資家が手にした特権を保護しなければならない」。

ドワイト・アイゼンハワー大統領は、一九五三年の一般教書演説で、「外交政策の重大かつ明白な目的は、諸外国で良好な投資環境を醸成することである」と述べた。だが、歴代の米大統領がいまだかつて説明したことのない点が一つある。それは、他国の運命を左右し、他国に発展の道筋をつけ、そうした国々があえて独自の道を歩もうとするときには強制介入する権利を、アメリカは誰から、あるいはどこから付与されているのかということだ。

アメリカがこれまでに行った介入は、例外なく、様々な国々の貧困層を犠牲にする一方で、金持ちと有力者の便宜を図るものであった。アメリカの指導者たちは、民主化を果たした国々の体制を盤石にするどころか、チリ、グアテマラ、インドネシア、モザンビークなど多くの国々で、民主的に選ばれた政権やポピュリスト政権を転覆させた。そして、アメリカがこうした行動に出るのは、決まってこれらの国々の政府が多国籍企業の利益よりも自国民の利益を優先していることが明らかになったときである。
アメリカの指導者たちは、世界で民主主義を守るためにはこのような介入が必要だったと主張する一方で、改革路線をとる民主政権を打倒した多くの独裁政権を支援し、その便宜を図ると同時に(チリやグアテマラへの介入がよい例)、自らが多国籍企業の忠実な僕であることを証明してきた。一九九三年、ビル・クリントン大統領は、国連で行った演説の中で「我々にとって最も重要な目的は、市場に基づく民主主義を掲げる国々で構成される世界のコミュニティを拡大・強化することだ」と声明した。

 

中略

 

資本主義的世界覇権を獲得する手段は二つある。その第一はグローバルな軍事機構を築くことだ。アメリカの国防予算は世界一の規模で同二位の国家の予算額の少なくとも五倍に達している。アメリカの陸・海・空の三軍は、世界の警察官として各地に展開しており、数百もの軍事基地を使用している。米軍のアドバイザーたちは、どの大陸でも、諸国の軍隊や民兵組織に訓練を施すとともに、装備と資金を提供している。これらはいずれも、世界を多国籍企業にとって安全な場所にするために行われていることである。


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「アメリカがこれまでに行った介入は、例外なく、様々な国々の貧困層を犠牲にする一方で、金持ちと有力者の便宜を図るものであったことの指摘は強烈である。

さらに、軍事介入目的が、「世界を多国籍企業にとって安全な場所にするため」であるとしている。

どうやら、アメリカが言う自由主義とは、自国の多国籍企業が安全にビジネスを行うことが保証される大企業資本社会と定義できそうである。

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