建艦ビジネスのために本が書かれた?
- 2022.08.10 Wednesday
- 08:19
JUGEMテーマ:歴史
「物語 アメリカの歴史」(猿谷要)によると、アルフレッド・マハンが地政学の本を出版した後、世界的に建艦競争が始まったとされる。
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国内の各産業に独占体制ができ上がり、さらにフロンティアが消滅してインディアンの組織的抵抗が終わった段階で、政治家や実業家たちの眼は海外に向けられていた。
南北戦争以前にもスペインからキューバを買収する計画があったし、戦後まもない一八六七年にはロシアからアラスカの買収に成功している。
中略
同じこの年アメリカは太平洋上のミドウェー書等を手に入れた。アジア貿易や捕鯨で、アメリカは太平洋を縦横に走っていたのだ。一八八〇年代に入ると海外膨張熱はしだいに高まり、八五年にはジョサイア・ストロングが『アワー・カントリー』を出版し、あからさまにアングロ・サクソンの優越を誇示した。フロンティアの消滅が近づいて、マニフェスト・デスティニー(明白な天命)は太平洋上にその姿を現したのだ。
これを追って、一八九〇年、海軍大学教授アルフレッド・マハンは『歴史に及ぼす海上勢力の影響』を発表する。海を制するものが世界を制するのだと説いたこの本は、アメリカばかりか日本を含む多くの国に紹介されて、建艦競争が始まった。一九〇五年にロシアのバルチック艦隊を打ち破った日本艦隊も、マハンの影響を十分に受けて造られていたのだ。
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著者は、政治的に腐敗した時代だったと指摘していることを考慮すると、新たに政府に金を出させるために都合の良いシナリオを編み出す人材が求められたことになる。
つまり、アメリカにおいて、巨大資本投下先としての鉄道建設ビジネスが一段落した後、鉄道ビジネスに代わる巨大ビジネスとして建艦ビジネスモデルが新たに浮上、アルフレッド・マハンはそのためのビジネスシナリオを提供したことになるのである。