超法規的な存在としてのBIS
- 2022.05.21 Saturday
- 08:48
JUGEMテーマ:歴史
国際決済銀行については、実態があまり知られていないが、創立当初から超法規的存在の銀行であったとされる。
「BIS 国際決済銀行 隠された歴史」(アダム・レボー)から引用させていただく。
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ついに誕生したBIS
ヒャルマー・シャハトとモンタギュー・ノーマンにとって、一九三〇年一月二〇日は忘れられない日となった。二人は、あらゆる国内法と国際法の適用を受けない銀行をつくることに成功した。この日、イギリス、フランス、ドイツ、イタリア、日本、スイスの各中央銀行の総裁たちは、大変に重要な書類に署名した。ハーグ会議の決議によって、BISは、世界で最も特権的で、法的に守られる銀行となった。BIS規制によってBISはいかなる制限や規制も受けない存在となった。それは現在でも続いている。BIS規則第一〇章には次のようにある。
「銀行(BIS)本体、所有物と資産、すべての口座、委託された資金は平時、戦時を問わず、収用、徴用、押収、没収、取引禁止の対象にはならない。金や通貨の輸出入などにちついていかなる制限も受けない」
BISは国際機関として様々な法的特権を享受しているが、BISはそもそも国際機関ではない。BISは民間銀行であり、出資者に対しての説明責任を負い、加盟している各国の中央銀行によって管理されている。
ヤング案に基づくドイツの賠償金支払いの実施のため、ノーマン、シャハト、その他各国の中央銀行総裁たちは、それまでにないほど強力な特権を有する銀行を創設した。彼らにはその企みを成功させるだけの狡猾さがあった。BISが”認定”する歴史学者ジャンニ・トニオロは次のように記している。「ドイツの賠償金支払い問題の解決のためにはBIS の創設が急務だった。そして、BIS規則によってBISの実際の目的がより幅広いものとされたのは偶然ではない」。続けてトニオロは次のように書いている。
「BISは、中央銀行間の協力を促進し、国際金融分野に追加的な機能を与えるために創設された。利害を共有する参加者たちの合意に基づいて、BISは、国際金融分野での問題解決のための代理人もしくは信託者として行動することができる」
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第二次大戦中であっても交戦国間の商取引が継続されたのは、国際決済銀行があったからである。つまり、国際決済銀行は、ドイツの賠償金支払い手段の確保が当初の設立目的だったが、最終的には戦争ビジネスで一儲けしたい金持ちたちに国際的な決済手段を提供したのである。