アヘン戦争の目的

  • 2022.01.15 Saturday
  • 13:38

JUGEMテーマ:歴史

 

「実録 アヘン戦争」(陳舜臣)によると、アヘン戦争の目的は二つあったとされる。

 

 

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不義の戦い

 

たとえば日本の高校の世界教科書にも、アヘン戦争について、
ー清国の変則的貿易形式を打破するために、イギリス商人のアヘンが焼きすてられたのを口実に、イギリスが宣戦を布告した。
といった記述がみられる。
公行のみを通じる貿易形式は、あるいは変則かもしれない。だが、それを打破するのが、戦争の主要目的で、アヘンが没収されたのは口実にすぎなかったのか?

真相はその正反対である。アヘン貿易を認めさせるのが戦争の主目的であって、変則貿易形式田はのほうが、たんなる口実にすぎなかった。
貿易形式はその国の都合できめることであって、外国が武力をもって干渉すべき性質のものではない。それを敢てするのも不義の戦いであろうが、アヘンのための戦いにくらべると、まだしも不義の程度は浅い。そう考えたイギリスの「愛国的」史家が、主目的をねじまげたのである。日本の教科書の編者も、知らずにその拙ブログを採りいれたのであろうが、これははっきりさせねばならない重要なポイントである。
公行の独占制度は、イギリスにとっては、窓口をしぼられて、いろんな点で不都合だったかもしれない。だが、アヘン戦争のはじまる六年まえまでは、イギリス自身も対清貿易を東インド会社に独占させるという、変則的形式を採っていたではないか。
清酷側では、けっして通商を拒もうとしたのではない。英人の広州退去後も、林則徐などは諭帖をもって、アヘンだけはおことわりだが、ほかの商品なら自由に交易してもよいと、口を酸っぱくして勧誘している。

 

中略

 

アヘンこそは、疲弊したベンガル政庁の財政にとって、命の綱ともいうべき収入であった。清国がアヘンを買わなくなれば、英国のインド支配は揺らぐのである。イギリスは、どうしてもアヘンのために戦わねばならなかった。

アヘンのための戦い。ーこの不義の戦争を弁護する説は、すでに当時からあった。

 

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一つは、アヘンという物資の貿易を認めさせ、中国に輸入させること、もう一つは、インドの植民地の財政面での維持である。

ここにイギリス史の恥ずべき一面がある。

 

植民地支配維持のために、アヘンを栽培、それを他国に売りつけて稼ぐ。貿易相手国が受け入れなければ戦争を仕掛ける。こんなやり方が国際的に許されるべき性格のものであろうか。

 

日本は、ありもしない南京虐殺、ありもしない慰安婦問題に関して、戦後謝罪を強いられてきたが、国際世論が日本政府の過去の謝罪が当然だとするなら、イギリス政府についても、謝罪の義務が課されるべきと考えるのである。

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