ロスチャイルド家が一大金融財閥になれた決定的理由
- 2020.09.17 Thursday
- 20:22
JUGEMテーマ:歴史
「ロスチャイルド家」(横山三四郎)という新書に、ロスチャイルドが一大金融財閥になれた決定的理由が書いてある。
駅馬車時代の頃から、ロスチャイルド家は、迅速かつ正確な情報伝達網を確保、維持してきたのである。
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暗号の手紙
そのころの交通手段は駅馬車ぐらいなものでフランクフルトからマンチェスターまでの旅行はもちろん、情報交換も容易なことではなかった。ドーバー海峡を渡ってパリとロンドン間に片道四、五日かかったころだからそれより遠いフランクフルトとマンチェスター間は天候に恵まれても片道一週間とみてよい。フランクフルトの兄弟の手の空いていないときは、ロスチャイルト商会の信用のおける従業員が飛脚として手紙や手形をもって往復した。
マイヤーはこれらの手紙をイデイッシュ語に暗号めいた約束事を組み合わせてしたため、決して署名しなかった。イデイッシュ語というのはドイツ語を基礎に北部ヨーロッパのユダヤ人の間に成立した言葉で、標記は右から左へと書くヘブライ語である。従って、ユダヤ人以外にはチンプンカンプンである。強盗が出ないでもないし、商売敵がどんな手段に訴えないともしれないというわけで編み出したこの秘密保持の手法は、一族の間で近年まで続けられていた。
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ナポレオンは知ってか知らずかロスチャイルド家を踏とらせるのに一役買ったのだが、これなどロスチャイルド家にとってはほんの小手調べでしかなかった。そのころにはロスチャイルド商会の二重底の専用馬車が、同商会のブルーと黄色の旗をなびかせてヨーロッパ中を縦横に走り回っていた。二重底のなかの積み荷は例の暗号で書いた手紙であり、ときには現金や密輸品であった。
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当時のロスチャイルド家はドーバー海峡に自家用の快速船を何隻も運航させていたほか、ドーバーとロンドン間に同家専用の早馬を置いてあった。このためネイサンは伝書鳩というよりは陸上ルートでいち早くワーテルロー勝利のニュースをつかんだ可能性が強いとみられる。
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すでにみてきたように、ロスチャイルド家は戦乱をかいくぐりながら独自の駅伝網を組織し、強化、スピードアップした。十九世紀初めころの至急便で、ロンドンからナポリまでニ三六時間(九日と二〇時間)という記録があるが、ロスチャイルド家の馬車は、同じルートを一六八時間(七日)で走り抜けたといわれる。素早い情報はそのまま膨大な投機利益に直結する。それぞれの国の外交官の報告よりもロスチャイルド家の情報のほうが迅速かつ正確なことはヨーロッパ中に知れ渡って、有力な貴族は自らの親書の送付を同家に託すありさまだった。それらの親書の内容は必要なときには極秘のうちに開封されて。ロスチャイルド家の機密情報に重みを加えた。それだけでなくその巨富に裏打ちされたロスチャイルド家の情報ネットワークは、途方もない威力を発揮してヨーロッパの政治を動かすまでになってゆくのである。
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またロスチャイルド家の情報網が一段と正確さと迅速さを高めた。各地の政治・経済に関する情報を誰よりも早く入手できた一族は、政治社会情勢によって揺れ動く市場で相場をリードした。アンテナを持たず未確認情報にうろたえて狼狽売りする弱小銀行家は一族の餌食でしかないわけで、ワーテルローの大博奕ほどではないにしても、それに似た巧みな操作で利益を上げることができたのである。
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彼らにとって、自分たちの繁栄を維持するために、世界一の情報伝達網であることを必要とした。
歴史的に、日本のコンピューター産業がアメリカ政府により潰されたり、中国のファーウエイがアメリカ市場から締め出されるのは、ロスチャイルド家が支配する?資本主義市場におけるロスチャイルド家の権益維持のためではないかという見方に繋がるのである。