アメリカにおけるキリスト教布教利権

  • 2020.08.26 Wednesday
  • 18:29

JUGEMテーマ:歴史

 


「裏口からの参戦上」(チャールズ・カラン・タンシル)によると、一九二五年当時、アメリカ国内にて、中国へのキリスト教布教を拡大したいプロテスタント勢力による、新中国の政治活動が拡大、中国の権利回復、中国礼賛の主張が、急激にアメリカ、イギリスにて認知、両国国内世論に大きな影響を与えたとされる。
プロテスタント勢力は、中国に同情的な世論となる様、誘導することで、アメリカなどからの寄付金が増えることを望んだ。

 

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親中圧力をかけるアメリカ人宣教師たち

 

一九二五年時点で、中国での布教に携わるアメリカ人プロテスタント宣教師の数はおよそ五〇〇〇人であった。布教のコストは年間一〇〇〇万ドル、中国国内に保有する試算は低く見積もっても四三万ドルであった。宣教師グループがアメリカの対中政策に強い影響力をもっていたことは明らかである。クーリッジ政権時代、彼らは親中国の主張を強めた。中国から多くの記念品(お土産)をワシントン(の有力者)に送り続け、宗教関係メデイアも親中国キャンペーンを張った。
一九二五年八月二〇日、そうしたメデイアの一つクリスチャン・センチュリー誌が米国務相の対中政策は一握りの官僚によって牛耳られていると非難した。クーリッジ政権が、こうしたグループの影響力を排して、ボーラ議員が訴えるような親中国の姿勢を米国務省にとらせることを期待した。九月に入ると、同誌は帝国主義の典型ともみなされる治外法権特権の破棄を訴えた。このような特
権は軍事力によってしか維持できないものだと非難した。
燕京大学(キリスト教系私立大学)学長のJ・L・スチュワート牧師は、この主張を支持した。米国内でも、キリスト教会連邦評議会も治外法権特権を破棄せよと訴えた。

キリスト教系グループの親中国姿勢を批判する動きもあった。一九二六年六月、ジョージ・ブロンソン・リー(ファー・イースタン・レビュー誌編集長)は、「宣教師勢力の政治圧力は度を越している。北京駐在公使の人選までもこの勢力の承認を必要とする、彼らの圧力には大統領も他の政治家も抗えないほどだ」と苦言を呈した。こうした組織にとっては米世論が中国に同情的になることが望ましかった。そうでなくなると寄付金が消えてしまうのである。

宗教組織の活動はアメリカの貿易にも悪影響を与えるだけでなく、中国国内の反外国人運動の火に油を注いでいた。中国問題を少しでも調べれば、反外国人感情がヒステリックな運動にまで悪化したのは、宣教師や彼らを支持する者たちの影響であることはすぐにわかった。
ロドニー・ギルバートは在中国のよく知られたジャーナリストだが、彼もリーの考えに同意していた。宣教師の主張は友好を醸成するのではなく、西洋列強に反発する態度を生んだ。およそ一年にわたって続けられた彼らの中国の権利回復の主張、あるいは中国礼賛の姿勢が、急激にアメリカ、そしてイギリス国内世論に大きな影響を与えたと分析している。

 

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中国で急拡大した、排外主義的主張は、日本にも向けられた、中国で抗日を最初に煽ったのは、アメリカ人プロテスタントグループであったことになる。
国民党政権のスポンサーが、ドイツ、イギリス、アメリカと移行しつつある中で、キリスト教布教利権は、日中戦争を仕掛けた最初の黒幕とみられるのである。

同時に、アメリカ人プロテスタントグループによる、中国の権利回復、中国礼賛の姿勢は巡り巡って日米戦争の引き金を引くこととなったのである。

 

キリスト教界が過度に政治介入したことは、歴史上の重大問題として扱われるべきであろう。

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