歴史学者がルーズベルト陰謀論を肯定することは「歴史学界のタブー」なのではないか

  • 2020.07.02 Thursday
  • 09:37

JUGEMテーマ:歴史

 


「論点別昭和史 戦争への道」と題する本がある。著者は学習院学長井上寿一。
この本には、二つの問題がある。論点の絞り込み事由がピンとこない。さらに、各論点に対する記述がダラダラとした書きぶりであることだ。

どうしても書き上げ世に問いたいというよりは、出版社が出版枠を確保してくれたので、書いている程度の文章になってしまっている。

 

あとがきにて書かれていることも、何かずれている。

従って、全頁を読む必要を認めない。

 

この本の第五章「日米開戦ーなぜ回避できなかったのか」において、著者が以下のような見解を示している。


//////////////////////////////////

 

ルーズベルト陰謀論の虚構

戦後の日本外交史研究は、日米開戦史研究だったと言っても言いすぎではないほど、質量ともに膨大な知見を生み出し、通説を打ち立てて、今日に至っている。世上に流布している俗論は退けられて久しい。
しかし俗論が消えることはんまく、再浮上する。俗論のなかでも根強いのはルーズベルト陰謀論である。「アメリカのルーズベルト大統領は、事前に真珠湾攻撃を知っていながら、わざとに日本にそうさせた」。この陰謀論のまちがっていることは、歴史実証主義の研究者にとって常識である。ルーズベルト陰謀論のまちがいは、須藤眞志『真珠湾<奇襲>論争』にあらかたまとめられている。

 

//////////////////////////////////

 

気になるのは、この箇所の記述だけとげとげしいことだ。

この本のこの章の参考文献を眺めたところ、日本人研究者が述べた文献のみ列挙されている。

ルーズベルト陰謀論は、そもそも対戦国のアメリカ側の研究者が述べていること、日本語翻訳書が出回っていることについて、著者は無視している。参考までに、日米開戦の経緯について述べた本から参考文献を列挙する。

 

・裏切られた自由 ハーバート・フーバー著、ジョージ・H・ナッシュ編 渡辺惣樹訳
・ダレス兄弟 国務長官とCIA長官の秘密の戦争 ステイーブン・キンザー、渡辺惣樹
・ヴェノナ ジョン・アール・ヘインズ、ハーヴェイ・クレア、中西輝政、 佐々木太郎 
・操られたルーズベルト 大統領に戦争を仕掛けさせた者は誰かカーチス・B. ドール
・権力の影 外交評議会「CFR」とアメリカの衰退 ジェームス・パーロフ 馬野周二
・ルーズベルトの開戦責任 大統領が最も恐れた男の証言 ハミルトン・フィッシュ
・日米・開戦の悲劇 ハミルトン・フィッシュ
・真珠湾の真実 ルーズベルト欺瞞の日々 ロバート・B・ステイネット
・ルーズベルトの責任  日米戦争はなぜ始まったか チャールズ・A・ビーアド
・アメリカはいかにして日本を追い詰めたか  「米国陸軍戦略研究所レポート」から読み解く日米開戦 ジェフリー レコード
・「幻」の日本爆撃計画 「真珠湾」に隠された真実 アラン・アームストロング
・アメリカはアジアに介入するな! ラルフ・タウンゼント


戦史に関しては、日米両軍による突き合わせが戦後行われている。これによって、マッカーサー戦史なるものが確定したことになるが、開戦に至る経緯について歴史研究するなら、日米両方の文献を調べることが、妥当なやり方となる。

 

しかし、著者は日本人研究者の文献に固執。

これだけアメリカ側の文献レベルの本が揃っているのにもかかわらず、著者は、自身にとって都合の良いシナリオに合致した文献のみを参照しようとした可能性がある。

アメリカ歴史学会は、ルーズベルト政権での開戦経緯について陰謀論を無視し、戦勝史観の永続化を試みているとされる。アメリカでルーズベルト戦勝史観に反論する者は、歴史学会から排除される状況が続いているとの情報がある。

 

 

・アメリカ史の歴史学者たちは歴史の真実を知らないのではないか   
http://gendaishi.jugem.jp/?eid=580

・アメリカの歴史学者たちの異常な実態と日本の歴史学者に及ぼす影響について
http://gendaishi.jugem.jp/?eid=615

 

 

つまり、著者は、そうしたアメリカ歴史学会の現況、タブーを熟知、自らの肩書、立場を守りたいとする立場から、この本で、ルーズベルト陰謀論の存在を否定したかったのではないか。

これだけ、アメリカ人が書いた文献が揃いつつある以上、陰謀論という一言で片づけるやり方ではなく、歴史学的手法で上記翻訳書を学術的視点から史料検証し、否定するなら否定すべきであろう。

つまり、著者は、歴史に関心ある人なら誰もが知る、史料検証に値する文献があるのに、敢えて史料検証を避けている?と言いたいのである。

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  • 2020.08.09 Sunday
  • 09:37
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    コメント
    日本に「敗戦利得者あり」
    に対して、

    アメリカに「戦勝利得者あり」
    ですね。

    次の書名も追加をお願いします。

    『日本経済を殲滅せよ』エドワード・ミラー、金子宣子(訳)[2010年、新潮社]
    今度読んでおきます。
    • masurawo
    • 2020/07/03 3:41 PM
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